では、今日から具体的な思考の型について
少しずつ説明してくことにします。
まずは前回予告した超基本的なフレームワーク、
マーケティングの「STP」の考え方からです。

STPというのは、効果的にお客様(=市場)を
開拓するための手法でして、分かりやすく言えば、

「どんなお客様に、どんな価値を提供することで
 自分の商品やサービスはお金を得ることができるのか」

を効率的に考える方法と言えます。

STPはそれぞれSegmentation、
Targeting、Positioningの頭文字です。

まずは「Segmentation」から。

今の世の中、お客様のニーズというのは
極めて多様化しています。極端なことを言えば、
一人一人のニーズに合わせて商品やサービスを
売っていくことが理想といえるわけですが、
物理的にそれはコストがかかってしまうので不可能です。
なので、

「同じニーズを持つお客様を
 グループ化することで売るための効率化を図ろう」

というのがSegmentationの考え方です。

自分が扱う商品・サービスの利益を最大化させる、
つまりはそれらを選んでもらうことを考える時には
お金を払ってくれそうな人達にはどんな人達がいるかを
考えて見ることが第一歩となってくるわけです。

・大学生
・シニア
・子連れ
・独身サラリーマン

などなど、出そうと思えば正解が無いので
無限に出せるわけですが、
こうやって同じ特性を持つ人達を
グルーピングしていくことをSegmentationと呼び、
分けられたそれぞれのグループはセグメントと呼ばれます。

ある程度セグメントが見えてきたら、
次に考えるべきことは「Targeting」です。

お金を効率的に得るために、
どのセグメントを狙うのが良いのかを
決める作業がTargetingです。
もちろん、お金がふんだんにあるのであれば、
全てのセグメントに対して全力で情報発信して
自分の商品・サービスをアピールすれば良いのですが
このご時世、そうそう羽振りの良い個人も法人もいません。
だから、効率的にお金が稼げるセグメントに
狙いを定める(=Targeting)わけです。
どこを動かせば最終的には全体を動かせるのか。

完全に思いつきですが、AKBなんかは
Targetingの例として良いかもしれません。
AKBを、金を生む「商品」と捉えた時に、
様々なセグメントが考えられるとは思いますが
まず最初にTargetingしたのは明らかに「オタク」です。
市場として間口は広くないかもしれないが、
奥行きはメチャクチャ深いと言いますか
彼らは「コレ」と決めたものには
メチャクチャお金を払いますからね。

そんなオタクをメインターゲットと考えたわけです。
そんなオタクに手を替え品を替え価値を提供し、
気付けばオタク層が異常に盛り上がり、
最終的にはオタクだけでないマス層まで盛り上がった。
実態としては盛り上がっていないのかもしれないけど
認知率だけで見ればAKBという名前はほぼ100%でしょう。
結果論かもしれませんが、オタクという層を
巧みにTargetingすることで、最終的には
とてつもないCDセールスを記録したのです。

Segmentationを考える軸やTargetingの基準は様々で、
正解は無く、試行錯誤の連続となります。
決して簡単ではありません。思考の経験が必要です。

最後に「Positioning」です。
これは以下で見ていきます。

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Targetingしたら、そのターゲットが
他の選択肢(=競合)ではなく、
自分を選んでもらう理由を確立しなくてはいけません。
自らがお客様に提供できる価値を考え、
他から抜きん出る、ということです。
お客様の頭の中で、自分が優位に立てる位置(=Position)を
確立することをPositioningと呼びます。

先ほどのAKBの例で言えば、メインターゲットは
明らかに「オタク」なのですが
ターゲットの選択肢として様々な競合が考えられます。
アイドルグループなんて沢山いるわけですから。
ただ、その中でも「オタク」の心を絶妙に突く、
「会いに行けるアイドル」というPositioningを
AKBは確立することにしたわけですね。

そもそもの話、男なんていうのは
女の子に触ってもらうだけで好きになってしまいます。
大変失礼な話ですが、女の子と触れ合い慣れていない
「オタク」となれば、「握手」することは
至高体験となるわけです。これが上手いところです。
実際にアイドルと触れさせることで
どんどんメインターゲットを虜にしたんですね。
「会いに行けるアイドル」とは実に巧みな
Positioningだとつくづく思います。

最後に補足しておきますが
PositioningはTargeting次第で変わります。
セグメントは「ニーズが異なる」ことが多いのだから、
ターゲットを変えれば自分が取るべき
Positioningが変わるというのは当然です。
Positioningを大きく変えなくても
多少のリファインで済む場合もあるかもしれませんが、
セグメントの理解、言い換えれば
Targetingの精度が戦略の善し悪しを左右します。
一口にターゲットが「オタク」といっても、
ニーズは様々でしょう。「どんなオタク」を
Targetingするのかを考えなくてはいけません。
セグメントの理解やTargetingが肝とは言え、
これは非常に難しい作業です。

STPというのは、相手の立場を理解できる
人間としての幅を持った、想像力ある人でなくては
なかなか難しい作業なんです。
「オタク」の気持ちは経験しないと
本質的にはわかりませんからね。

だから、その人達の気持ちを知るために
企業は様々なアンケート調査を実施するわけですけど
アンケートに答える側も、表現のプロでは決してありません。
本当のニーズは言葉として現れないことが多いのです。
だから難しい。その見えないニーズを
「インサイト」と呼んだりもしますが
そのニーズは簡単には見えてこないわけです。

以上、簡単ですがマーケティングのSTPの考え方でした。
要するに、物事を考えやすくする
思考の型(=フレーム)だと思えば良いのです。
慣れればかなり論理的に自分の周りのことを
考えられるようになるはずです。

STPという思考の型は次に説明する
「4P」の考え方と合わせて常識です。

こんな簡単なことを知らないだけで
年収の差が開いてしまうのは勿体ないですね。